「つわり中に恐怖を感じる事で、たとえ24時間のうちの5分間というわずかな時間だけでもつわりの辛さを軽減して欲しい」
という思いから書き始めた記事ですが、今回で3記事目となりました。前回・前々回の記事では映画を紹介しました。今回紹介するのは漫画です。
- 前回ページ→つわり対策として観るのをおすすめするゾクリとする鳥肌映画4選【気持ち悪くなる妊娠症状から意識を逸らそう】
- 前々回ページ→つわり対策として観るのをおすすめする胸糞映画5選ネタバレあり【気持ち悪くなる妊娠症状を集中する事で乗り越えよう】
妊娠初期に一瞬吐き気が軽減したちょっと怖い漫画ランキング
1位、残酷な神が支配する

【ストーリー】
母親が再婚して、ジェルミに新しい家族ができる。見目良く収入もあり、世間的評判が素晴らしい義父だ。しかし彼は母親を人質に、ジェルミに性的関係をせまる男だった。
作者の萩尾望都といえば「ポーの一族」という大人気の代表作がありますが、他にも多くの名作を世に出しておられます。今回の「残酷な神が支配する」もたいへんな名作の一つで、筆者は文庫版で全10巻を読みました。出てくる登場人物達のトラウマの描かれ方が秀逸で面白いですが、ストーリーがかなり衝撃的でどろどろと重たい話です。主人公に絡む義父が非常にサイコパスで恐ろしいです。たくさんの性的虐待シーンがありますが、性的シーンなのにあまりに義父が恐ろしすぎて少しも興奮しませんでした。特に恐ろしいのは義父が変なお面をかぶる時です。

話の後半で色々意味が出てくるこの仮面ですが、一時期筆者の頭から離れませんでした。この話はトラウマを無くす事は不可能だけど、いかにしてトラウマと共存して生きていくか、という話です。読んでいる最中は重苦しい気分になりますが、読後はわりとスッキリしました。しかし筆者が自分の母親に読ませたくらいにはおすすめする漫画ですが、ストーリーには主人公と義兄の同性愛も描かれています。同性愛が苦手な人は読む時ご注意下さい。ともあれ、とにかく激しい衝撃を受けられるので、つわり中にはぴったりかと思います。
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この方が練られるストーリーはとても重厚で読み応えのあるものばかりです。絵柄が古めかしくて受け付けない人もいるらしいですが、絵柄だけで読まないという選択にするのはもったいないと思います。「残酷な神が支配する」を面白いと思えたなら、他に「イグアナの娘」「半身」も好きになれると思います。
2位、Another(アナザー)

【ストーリー】
夜見山中学校の3年3組には、呪いがかけられている。呪いから逃れるために編み出した方法、それはクラスの誰かが「いない者」の役割を担う事だった。転校してきた主人公は、それとは知らずに「いない者」に話しかけてしまう。
原作の小説が人気で、まずアニメ化されて、その次に漫画化された作品です。この漫画の作画がとても綺麗で、登場人物達はみんな美形です。この美麗な絵が怖さの肝でして、美しい繊細な作画の美形がいきなり無表情になるので「もしかしてこいつが幽霊?」と、読み手をゾッとさせてくれます。

「残酷な神が支配する」は、息苦しくべっとりした冷や汗が出るような恐怖を与えてくれましたが、「Another」は、一人でトイレに行けなくなる恐怖を与えてくれました。もっともつわり中だったので読んだ当時に感じた恐怖は半減くらいでしたが、伏線がとても上手に張り巡らされており最後の展開にはびっくりしました。
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全4巻という、ほどほどに読みやすい巻数である所もおすすめです。
3位、血の轍

【ストーリー】
中学二年生の静一は、美しい母親・静子から過保護に大切にされている。しかしある日、その穏やかな家庭は静子によって激変する。主人公はストレスから吃音になってうまく話せなくなったり、彼女と別れさせられたり、彼女行った性的な事を「きったない」と罵倒されたりと理不尽に抑圧されて支配されていく。
作者の押見修造の前作「悪の華」は筆者はあまり好きではなかったんですが、「血の轍」は見事にハマりました。2位にしようか迷ったくらいです。(1位は残酷な神が支配するで鉄板)しかし2021年現在連載途中であり、ラストがどうなるか分からないので3位にしておきます。毒親の恐ろしさをこれ以上無いくらい気持ち悪く、上手に表現されています。他の作品でもそうですが、こういう「気持ち悪い表現」がとても上手な作者さんです。どんどん支配されていく主人公が可哀そうで、普通に良い母親に育てられた筆者でもなんとなく感応して感情移入してしまいます。

筆者が読んでいて持った感情は、ベタついた気持ち悪い恐怖とともに主人公への同情、そして「この主人公は母親と共にどこまで堕ちていくんだろう…」という微妙な期待です。こういった期待を持たせる所が、他の漫画とひと味違う所で、この作者の才能と言えると思います。
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ちなみに「きったない」と罵倒されるひと際主人公が可哀そうなシーンがあるのは6巻です。
4位、Under the Rose

【ストーリー】
19世紀英国で、没落貴族グレースは愛人のロウランド伯爵宅で謎の死を遂げた。彼女の息子ライナスとロレンスは実父のロウランド伯爵に引き取られるが、ライナスは母の死にロウランド家の人々が関わっていると疑念を抱く。そして真相を究明しようとするライナスの孤独な闘いが始まった。
19世紀英国の伯爵家で起こる不倫・不義・愛人とその子供達のドロドロの愛憎劇な漫画です。とにかく異様に拗れまくるのですが、この拗れ方が読者に衝撃を与えてくれます。しかし愛憎劇なんですが憎しみシーンよりも愛情シーンの方が印象深く残るので、読後は不思議と気分が良かったです。19世紀の英国文化もしっかりと資料を読み込んで描かれているのが分かるので、当時の宗教・生活・考え方など勉強になりました。

また立場の違い(貴族と平民)によって物の見え方がずいぶん違ってくるんだな、という事が分かりやすく説明されています。最初に読んだ時は「冷血だな」と思った人物が、読み返すと「当時の文化圏では最大限の優しさ」だったんだな、と分かったりします。
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主人公だけではなく周りの登場人物も、愛と欲望まみれで魅力的です。
5位、秘密トップシークレット

【ストーリー】
警察庁には死んだ人の脳の記憶を見て、事件を謎解く「第九」という課がある。変死を遂げた米大統領、自殺した連続殺人犯、送り付けられる脳…彼らの脳が語る「秘密」とは?人間は誰でも人に知られたくない秘密を抱えている。
殺人事件を扱う警察署が舞台なので、血液や死体がバンバン登場する漫画です。被害者の脳を見たら事件は解決するが、それは本当に被害者自身が望んでいる事なのか。死者の尊厳・生者の尊厳を踏みにじる事にはならないのか…などと、扱う事件ごとになかなか重たいテーマを抱えており、ただの謎解き漫画じゃない所が良いですね。しかし途中から同性愛的な表現が強くなってしまい、つわりに必要な怖さが薄れてしまったと感じました。同性愛好きな読者に媚びなくても普通に面白かったので、少々残念でした。
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とりあえず筆者おすすめの2巻までは、ぜひ読んでみて欲しいです。
総論:つわり対策として読むのをおすすめするちょっと怖い漫画
つわり中に衝撃や恐怖を感じて欲しくて、おすすめしている漫画特選でした。つわり中に読んでも衝撃は半分だと思いますが、この記事の読者さんに少しでも衝撃を与えられたら良いなと思います。