ファボーレ富山近くにある富山県中央植物園は、日本海側で初めて作られた総合植物園です。温室5棟もあるのでけっこう広い植物園なんですが、子供は無料で入館できます。そこで子供を連れて散歩してきました。
大人のみ有料!日本海側初の総合植物園

JR富山駅から富山地鉄バス「ファボーレ経由萩の島循環線」に乗車して、「中央植物園口」バス停を下車すると徒歩約15分で着きます。正面入り口に着くと噴水が沸き上がっており、天気が良いと虹がかかっている様子が見れます。
開館時間
- 2月〜10月:9:00〜17:00
- 11月〜1月:9:00~16:30午後4時30分まで
休園日
- 毎週木曜日(4月第1木曜・4月第2木曜、GW中、お盆、木曜日が祝日の場合は開園)
- 年末年始(12月28日〜1月4日)
入園料
- 3月~11月大人:500円(団体400円)
- 12月~2月大人:300円(団体240円)
- 高校生以下・70歳以上は無料。
★ちなみに4月のさくらまつり期間中は、入園料が特別に200円になります。(→富山県中央植物園のさくらまつり期間中はお得な特別開園!通常入園料の半額以下で婦中のお花見スポットを楽しんできた感想)
★毎年5月6日、5月9日はとやま県民ふるさとの日です。入園料が無料になります。
5棟の温室情報

初めて行くとその敷地の広さにけっこう驚きます。ゆっくりのんびり見学すると絶対1日では回り切れないので、とりあえず屋外は後回しにして屋内の温室から回る事をおすすめします。
温室の広さ

温室だけでも5棟あり、2,831㎡という広さです。温室は熱帯雨林植物室・熱帯果樹室・ラン温室・雲南温室・高山絶滅危惧植物室に分けられています。特に「熱帯雨林植物室」では400種もの熱帯性植物が生い茂っており、ムッと湿度が身体にかかってきます。入った瞬間から、ムンムン植物の生命力を感じられます。

一人で行っても十分楽しめますが、子供の散歩に良いと思いました。「あれ何?」「これ何?」と聞かれても、ほとんどの植物に解説文が付いているのでちゃんと答えてあげられます。子供はバナナの木、アボカドの木、パイナップルの木、タイヤの木(ゴムの木)など、生活の身近にあるものに興味津々になりました。

22mの高さがある棟の中では見上げるほど高い木々たちがたくさんあり、天井が高いので温室なのに開放感があります。しかし初見に「天井まで植物が生い茂っているなあ」と思って回り始めれば、すぐに細部に手入れが行き届いているのが分かりました。見た目が美しく雰囲気が良いので、家族連れだけでなくカップルにもおすすめ出来ます。
温室の2階

広い温室は上から見下ろす事も可能です。階段かエレベーターで上に行けます。

2階に取り付けられた柵を目視してみると、新しく錆び一つありませんでした。またすり抜けられるような広さもないので、小さい子でも比較的安心して歩かせられました。

もっとも2階には、目玉となるような「ぜったい見てほしい!」という植物はありません。広い温室を歩くのに疲れたなら、寄らなくても支障はありません。
小休憩

温室内のところどころにベンチがあって、休憩するのに助かりました。

休憩中も四方を植物に囲まれるようです。個人的に思う屋内温室の一番素晴らしい所は、公園と違って虫がいない事です。「身体を動かしていないと蚊に刺されるかも…」「上から毛虫が落ちてくるかも…」とか考えずに、ただひたすら植物を眺めながらベンチに座っている時間は癒されます。
解説文

木、花、実、果物にはそれぞれ解説文が付いていますが、それ以外の雑学も知る事が出来ます。例えば温室内の池囲いの所にはメキシコ・グアテマラの打楽器、「テポナストリ」が括り付けられていました。展示されているのはこの植物園で作ったものです。「世界最大の竹の一種・巨竹」を使って作ったものなので、通常のものよりかなり大きいです。筆者も竹の切り落とした部分の活用方法は知っていましたが(門松・竹炭・皿・照明インテリア・おもちゃ等)、実際にこういう楽器があるのは知りませんでした。

来園者は自由に鳴らせるのという事で叩いてみると、叩く場所によって音が違いました。切れ込みの幅、長さによって音が変わるようです。

他には、お釈迦様が入滅する(高僧が天に召される)時にこの木の下に横たわったといわれている「沙羅双樹」の解説文もありました。寒さに弱い事から日本での栽培は難しいとされていますが、この植物園では2009年に開花に成功しています。それは国内3例目の事で、しかも当時は苗を譲り受けてから1年目の事でした。報道を見て「さすがプロ」と感心したのを覚えています。
ラン展

写真上は温室5棟のうちの一つ「ラン温室」です。ラン温室では季節に関係なく、一年間ずっと多種多様なランを楽しめます。特にコチョウランやカトレヤなどの園芸品種は花屋でも見る事が出来ますが、野生のランは普通に生活しているだけでは見る事が出来ない花です。
北陸最大のラン展
3月に「富山県蘭まつり大会」として北陸最大のラン展が2日間行われます。会期中はランの即売と、蘭の栽培と管理講習会が行われます。
春のラン展
5月のゴールデンウィーク中に開催されます。なんといっても好評なのは、抽選でプレゼントがもらえる「香りのコンテスト」です。香りのよいランの人気投票が行われて、最も香りのよいランに投票した10名様に植物園招待券がペアで贈られます。この時期に見ごろを迎えるエビネ等の洋ランが見られます。
夏のラン展
7月初旬に開催されます。夏に見ごろを迎えるフウラン、ウチョウランなどが見られます。
秋のラン展
11月下旬に開催されます。秋に見ごろを迎えるカンラン等が見られます。
無料の休憩処・ドリアスホール

ドリアスホールは「熱帯雨林植物室」の温室近くにあるログハウスです。畳2枚分の大きな机が6脚あり、昼食・休憩・学習の場として誰でも無料で利用出来ます。また大きめの授乳室・休養室があるので、赤ちゃん連れ・身体障がい者もゆったりできます。

参考図書は自由に閲覧出来るので、ちょうど温室で見てきたばかりの花を索引しながらのんびりしました。施設内には他にも図書閲覧室がありますが、飲食可能なのがこのログハウスのありがたいところですね。
ココナッツアイランド中央植物園店に入る

植物園内には喫茶店・ココナッツアイランドがあります。店内の大きな窓から見える植物園の景色が大変素敵でした。北池が一望でき、対岸のソメイヨシノ並木や野鳥が見えました。

もっとも全40席の店内は、イベント時にとても混雑します。筆者が行った日もものすごく時間がかかりそうだったので、手作りケーキやジュースは諦めてすぐにできそうなソフトクリームを注文しました。(ちょっと文句になりますが…ソフトクリームを注文後に「1時間かかります」と言われたので、注文する前に待ち時間を聞いておくのがおすすめです。)
- 営業時間:10:00~16:00
- 定休日:木曜(祝日の場合は翌日)
総論:富山県中央植物園に入園してきた感想
富山県中央植物園は「全年齢向けに開かれている植物園」だなと感じました。
- 授乳室とオムツ替えコーナーの充実具合から「赤ちゃんとの散歩」
- 植物関連の図書をすぐに閲覧できる事から「子供との散歩」
- 温室の雰囲気が良い事から「カップル同士の散歩」
- 浮ついた空間でない事から「一人の散歩」「熟年夫婦の散歩」
―――等々このように全年齢におすすめ出来ます。(別にどこの植物園も年齢制限を設けられているわけではありませんが、それでもなんとなく「カップル向けイベントが多い所」「子供が遊べるアスレチックと一体化した所」など○○向けに特化した植物園があります。)4月の桜まつりの時は景色の素晴らしさに加えて、大人の入園料が特別料金200円になるので特におすすめです。またちょっと真面目な話をすると、植物園の存在意義の一つに「絶滅危惧植物の保護」というものもあります。

上の写真は5棟ある温室の一つ「高山・絶滅危惧植物室」。極力室温が抑えられており、ごつごつした岩石を組み合わせたワイルドなロックガーデンになっております。ここでは富山県内で保護されて植物園で増殖した希少な絶滅危惧植物が展示されています。
例えば2015年には、射水市小杉地区に会員制スーパー・コストコがオープンしました。実はその開発地には絶滅危惧植物・トウカイコモウセンゴケの生息地でした。それを採取して救ったのは富山県中央植物園でした。
例えば2019年には、富山の野生では絶滅したとされる多年草チョウジソウが南砺市利賀ダム用地で確認されました。そこで国交省から依頼を受けて富山県中央植物園に移植されました。
このように知識を深めるだけではなく、研究成果を実際に役立てているのが富山県中央植物園の素晴らしいところですね。富山観光で富山県中央植物園に行く人はあまりいませんが、婦中に行く事があれば行ってみて欲しい所です。温室だけなら1時間30分くらいで周れます。屋外も含めて周るなら1日かかるので、時間のある時にどうぞ。
★4月のさくらまつり期間中は、入園料が特別に200円になります。(→富山県中央植物園のさくらまつり期間中はお得な特別開園!通常入園料の半額以下)
★毎年5月6日、5月9日はとやま県民ふるさとの日です。入園料が無料になります。